陸上競技をしている選手の身体能力は一般人の肉体的強さよりも別次元の強さを持っているでしょう、またその人達からは動物としての生命力の強さみたいなものを感じます。
競技ごとに特化された肉体とパフォーマンスは、魅力的で衝撃的で、強烈な印象を人々の記憶に残します。
人体の限界を超えるのか、それとも本来の人体の力を引き出すのか、どちらにしても、我々の想像を絶するトレーニングの日々を積み重ねていることでしょう。
走り幅跳びの世界記録が8m95cm
28人ほどの中型バスが全長9メートルなので、ぼぼ端から端へひとっ飛びできる、高さで表すと大体マンションの3階の高さになる。
とてつもない身体能力だと感じます。
走り幅跳びとは
陸上競技における正しい表記は走幅跳であるが、学校教育や新聞記事など陸上競技関係者以外が多く関わる場面では走り幅跳びと表記されることもある。
競技の着地点は普通、安全性と記録の行いやすさから砂場となっている。その砂場にできた競技者の身体(普通は足)の跡のうち、踏み切り地点より最も近い地点を着地点とし、踏み切り地点からの距離を記録とする。手や尻を後ろに突いてしまった場合はその地点までの距離が記録となる。
走幅跳は、おおよそ4つの局面からなる。助走局面と踏み切り局面、空中局面及び着地局面である。その跳躍記録は、助走のスピードと高い関係があることが分かっている。
走り幅跳びの歴史
走幅跳は紀元前12世紀頃から種目として行われていた形跡が残っていて、古代ギリシアの遺跡から発掘された絵壺や絵皿に描かれています。
特徴的なのは、重りを持って跳躍をしている点で、実際に重りも発掘されており、1kg~4.5kgの石や金属でできた重り(ハルテーレス)だと分かっています。
重りを持っての跳躍とか怪我しそうですね汗
現代の走り幅跳びでは(もちろん重りなし)1991年に東京オリンピック マイク・パウエル(USA)が8m95cmの世界新記録を爆誕させ、今も破られていない。
走り幅跳びのルール
走幅跳は、速いスピードの助走から1回の踏み切りで遠くに跳んだ距離を競う種目です。
踏み切りは、踏み切りライン(20㎝の踏み切り板の砂場側のライン)の手前で行います。踏み切り足が僅かでも踏み切りラインを越えるとファウルとなり、無効試技となります。
距離の計測は、踏み切りラインから、着地地点(身体のどの部分であっても砂場にふれた最も手前の地点)で行われます。
また、試合(競技会)での試技は、最初に3回行い、記録上位者8名がトップ8(エイト)としてさらに3回(計6回)の試技を行って、すべての記録の中から順位がつきます。
至ってシンプルなルール。
陸上競技のほとんどがシンプルです。
誰が1番遠く跳べるか、速いか、投げたか、記録が全て。
橋岡優輝選手の経歴
橋岡 優輝(はしおか ゆうき、1999年1月23日 – )埼玉県浦和市出身の陸上競技選手。
身長183cm 体重76kg 専門は跳躍競技。
走幅跳の世界ジュニア陸上競技選手権大会、アジア陸上競技選手権大会、ユニバーシアード金メダリスト。同種目では日本歴代2位となる8m36を記録している。また、サッカー選手の橋岡大樹、橋岡和樹は従兄弟。
両親ともに元陸上競技選手のサラブレッドである。
父の橋岡利行(はしおか としゆき)は日本選手権で7度優勝した棒高跳の元日本記録保持者であり、母の直美(城島直美)は三段跳と100mハードルの元日本記録保持者である。
さいたま市立岸中学校で陸上を始め、私立八王子学園八王子高校で走り幅跳びに転向、高校生歴代10傑となる7m70の好記録を出して脚光を浴びた。
日本選手権では3連覇を果たしている。
2019年の世界陸上ドーハ大会では7m97(-0.2)を記録して8位になり、日本人史上初の世界陸上入賞を果たした。
2021年の東京オリンピックの陸上競技男子走り幅跳び予選では、1本目に8m17を跳び、決勝進出条件の8m15を超えたことで同種目で37年ぶりとなる日本選手の決勝進出を果たした。
決勝では2本目で7m95を跳んで上位8人に入って入賞を確定させた、最終6本目では8m10の跳躍を見せて6位に入り、37年ぶりの日本選手入賞を果たした。
橋岡 :走ってきて遠くに飛ぶという、一見単純な動作に見えますが、実はいろいろなものが求められます。繊細さであったり、技術であったり、純粋な走力などのフィジカルであったりと、多くのものが求められる難しさが魅力だと思っています。一言で言うと、”単純がゆえに難しい”のが、走幅跳の魅力です。
https://www.recruit-foundation.org/report/post-12865/
跳躍競技(走り幅跳び)の練習
「走り幅跳び」に必要な能力は、
跳躍力(=バネ) 走幅跳の踏切は片脚なため、相当な負荷がかかります。
バネを大きく強くするには、踏切に耐えられる体づくりが大切。
走力(=スピード) 助走でつけたスピードが速ければ遠くまで跳ぶことが出来ると言われています。
助走は跳躍のためのエネルギーを生み出し、速度が速い程、そのエネルギーは大きくなります。
助走でつけたスピードを活かして踏み切ることも大切です。
調整力
踏切位置が踏切板から出てしまうと記録無効、だからといって手前から踏み切ってしまうとロスになる。
上手く踏切板で踏切をするための調整力が求められます。
上記の3点が主な練習内容に該当します。
跳躍競技(走り幅跳び)に必要な筋力トレーニング
跳躍選手は投擲選手(とうてき 手を使って遠くの物を投げる競技)の次にウエイトトレーニングが必要だと言われています。 ウエイトトレーニングを重視するべき順番は 投擲選手>跳躍選手>短距離選手
出力✕効率で記録が決まるから走り幅跳びにも筋トレが必要だ!
まず最も大切なことですが、陸上競技の成績というのは 出力✕効率で決まります。
陸上アカデミア
噛み砕いて言うと、最も少ない体重で最も大きな力を出した人が勝ちます。
そしてその出力を上げる手段としてウェイトトレーニングがあります。
なぜなら出力というのは筋肉量で決まりますし、効率というのはテクニックに依存します。
これは短距離であろうと走り幅跳びであろうと変わりません。
背筋
走っている時や、跳躍時に体のブレを無くします、さらに、空中動作の時に体のバランスを保ち、かつ素早く体をたたむことができる。
腹筋と背筋の筋力バランスが合致すれば効果は飛躍する。
バックエクステンション
- ヨガマットなどの上にうつ伏せになる
- 両手を顎の下か頭の後ろで組み、足は肩幅程度に開いておく
- 息を吐きながら、ゆっくりと上半身を起き上がらせる
- できるだけ高く上半身を上げたら、そのまま2〜3秒間キープする
- 息を吸いながらゆっくりと元の状態に戻る
バックエクステンションは、背筋だけでなく、腹筋や大臀筋、ハムストリングにも効果的です、背面の筋肉全面を意識して行えば効果は絶大です!
股間の圧迫が生じますので下にマット等を敷くにしても痛めないよう工夫して下さい笑
腹筋群
背筋同様、走っている時や、跳躍時に体のブレを無くします、空中動作の時に体のバランスを保ち、かつ素早く体をたたむことができる。
腹筋と背筋の筋力バランスが合致すれば効果は飛躍する。
プランク
- 前腕部と肘を床につけ、うつ伏せになります。前腕部は平行にし、手は軽く握ります。足は腰幅程度に開き、床につけましょう。
- 膝をまっすぐ伸ばしたまま腰を浮かせます。前腕部とつま先で体を支えます。
- 体を一直線にし、姿勢をキープします。
腸腰筋(インナーマッスル)
大腰筋(だいようきん)小腰筋(しょうようきん)腸骨筋(ちょうこつきん)の3つからできている。
太ももを上げたり、踏み込んだり、前傾で走る際に力を発揮する。
レッグレイズ
1. 仰向けに横になり、両手を床につける
2. 床に腰をつけた状態で両足を浮かせる
3. 膝を伸ばしたまま両足を持ち上げていく
4. 床につかないくらいまで両足をゆっくり下ろしていく
1~4までを1日10~20回3セット程度を目安に。
腸腰筋(インナーマッスル)は人体の軸を支える筋肉です、この筋肉が強い人はスタミナがあり、生命力が剛強。
特に男性は積極的に鍛えた方が良いと言われています、男性機能の向上に期待できます!
大腿筋(ふともも)
瞬発力を生むのにとても大切な筋肉です。
助走時の加速、スピードを生み、踏切時には、スピードを殺さないように一気に跳ぶために必要不可欠です。
人体で最も鍛えなければならない部位の一つ、まさに力の象徴。
スクワット
- 足を肩幅よりも少し広めにし、つま先を30°程度外側へ向けて立ちます。両手は前で組みましょう。
- 胸を張った姿勢のまま、股関節と膝を曲げて体を下げていきます。お尻を後ろに突き出すように意識します。
- 太ももが床と平行の位置まで体を下げたら、股関節と膝を伸ばして元の姿勢に戻ります。
- この動作を繰り返します。
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)「ふくらはぎ」
カーフレイズ
- 腰幅程度に足を開いて立ちます。
- かかとを地面から浮かせ、つま先立ちになります。
- 上げられるところまで上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
- この動作を繰り返します。
食生活
アスリートは当然トレーニングを頑張ることが必要です。
それと同じくらい「栄養摂取」が重要な意味を持ちます。
ヒトの身体はヒトが食べたものでできています。
主に高いスピードやパワー発揮が必要な陸上競技選手が、パフォーマンスを高める上で必ず押さえておきたい栄養摂取のポイントを紹介していきます。
炭水化物
三大栄養素の一つである「炭水化物」は、大きく分けて「糖質」と「食物繊維」に分けられます。
糖質は激しい運動を行う上で必須のエネルギー源。
糖質は、体内で「グリコーゲン」という物質に変化し、筋肉や肝臓に蓄えられるる。
ヒトの身体では、おおよそ筋肉に1500kcal分、肝臓に500kcal分のグリコーゲンを貯蔵することができるようになっていると研究結果があります(もちろん個体差有り)トレーニングされたアスリートは、このグリコーゲンの貯蔵量が一般人よりも多いと言われています。
また、このグリコーゲンは体内に大容量を貯蔵できない、しかも貯蔵量が減るだけで筋力やパワー、持久性が落ちてしまいます。
なので、試合で高いパフォーマンスを発揮するためにも、より良いトレーニングを行いトレーニング効果を高めるためにも、グリコーゲンの貯蔵量を増やし、維持することが必要。
そのためには糖質の摂取が重要になってきます。
グリコーゲンを不足させない!運動量に見合った糖質摂取が重要!
スプリントトレーニングを行う選手は、体重1㎏あたり最低6g以上の確保は必須。
体重60㎏の人であれば、糖質だけで1500kcal前後の摂取が好ましい。
ごはん100g(小盛り1杯)156kcal、糖質35.6gです。
ごはん150g(中盛り1杯)234kcal、糖質53.4g。
ごはん250g(大盛り1杯)390kcal、糖質89.0gです。 ※(小盛り、中盛り、大盛りの量は目安の量)
ごはん1合は、生のお米で150gで、炊くと約330gになります。この場合のカロリーは515kcal、糖質117.5gです。
朝、昼、夜で1合ずつごはんを食べれば1500kcal以上の摂取になる。
食の細い人には信じれないごはん粒の量ですね笑
アスリートの食生活がどれほど大変で重要か痛感します。
タンパク質
タンパク質は筋肉だけでなく、腱や骨、血液などの身体のほぼ全ての組織を作る材料と言っても過言ではありません。 身体を強くし、身体能力の性能を高める上でタンパク質は欠かせない栄養素です。
このタンパク質は、1日体重1kgあたり2g以上は摂るようにしましょう。
※赤身の牛肉100gにおおよそ20gのタンパク質が含まれていると言われています
詳しくはこちらから アミノ酸の種類と働き
運動パフォーマンスを効果的に高めるだけではなく、怪我を防いだり、トレーニングからのリカバリーを促すことにもつながります。
トレーニング後はタンパク質の合成が高まりやすくなっており、プロテインを摂取することで、より筋肉をつきやすくでき、相乗効果を狙えます。 (※諸説有り)
しかし、最も重要なのは1日全体のタンパク質の総摂取量です。いくらトレーニング直後にプロテインを飲んでいるからといって、全体量が疎かになっていると、肉体能力の向上は見込めません。
脂質
脂質は余分な脂肪の増加につながるので、出来るだけ摂取しないようにした方が良いという考えが多いです。
しかし、脂質の摂取を減らしすぎるとパフォーマンス低下に繋がってしまうこともあります。
脂質は、筋肉の増加に関わる「テストステロン」というホルモンの分泌量に関わっています。
このホルモンのレベルを維持するためにも、ある程度の脂質の摂取は必須。
総摂取カロリーの20%は脂質を摂取することが望ましいと言われています。
体重1kgあたり1gが好ましいです、体重60kgの人で60gです。
※肉類、魚介類、卵類、乳製品、油、ナッツ類、穀類、これらに多く脂質が含まれている。
鯖の切り身100gあたりのカロリーは211kcaです。 たんぱく質は20.6g、脂質は16.8g、炭水化物は0.3g含まれています。
ただ、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを持ち、摂りすぎると体脂肪の増加に繋がります。 普段の摂取量をきちんと把握しコントロールするのが重要です。
筋肉量増加、パワーを高めることが優先であれば、消費カロリーよりも摂取カロリーを増やすことが必要。身体の組織の合成が促されるとともに、トレーニングからの回復も早くなります。
計算された食事は、筋力とパワーを効果的に高めることに繋がります。
橋岡 : 1週間のスパンでバランスをとるように心がけています。ある1日で偏った食生活をしてしまったと感じたら、1週間のうちでバランスを正そうと考えています。
https://www.recruit-foundation.org/report/post-12865/
1日1日で深く考えすぎてしまうと、自分は食事ばかりに気を取られてしまいます。1日よりは少しルーズな、1週間という期間で見ることによって、バランスの取れた食生活を続けられるのかなと思っています。朝昼晩の中では、練習後の夜ご飯が一番楽しみです。昨晩は、チキン南蛮と一口カツを食べました。
まとめ
陸上は他者に依存しない競技です、記録という数字で結果が示されるため明確であり、自分の成長と努力を実感しやすい競技です。 これが陸上の楽しさの一つであり、多くの競技者はこの瞬間の喜びを求めて厳しい練習に取り組み続けます。
そしてまた、仲間と切磋琢磨できます。 この特殊な環境は自分を認め他者を認め、受け入れる力(理性)を育みます、記録を追うアスリートは合理的で、冷静でクールな印象を与えます、しかし心は激しく燃えています。
人体を、自分の限界を超え続ける事は容易なものではありません、世界クラスになれば想像を絶するほどでしょう。
スタイルが良く引き締まった身体、整った顔立ちでクールと思いきや、キュートな笑顔で心を掴む跳躍系男子。
橋岡優輝選手、その魅力的なルックスから放たれる跳躍パフォーマンスに度肝抜かれ、人々の記憶に鮮烈に残る事でしょう。
彼の挑戦と今後の活躍に期待し、心から応援したいと思います。
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